大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

東京高等裁判所 昭和43年(ラ)634号 決定

一、鉄筋コンクリートブロツク造二階家建居宅

床面積 一階 三二・七九平方メートル

二階 三二・七九平方メートル

(現況) 居宅兼事務所

と表示されており(以下甲建物という。)、これに符合する登記簿謄本(記録一四七丁、田中テツヱ所有名義)が存するが、これと別に、

横浜市南区南吉田町四丁目四〇番地一〇

一棟の建物の表示

構造  鉄筋コンクリートブロツク造陸屋根四階建

床面積 一階九・九二坪、二階九・九二坪、三階九・九二坪、四階〇・三三坪

専有部分の建物の表示

家屋番号 南吉田町四丁目四〇番一〇の一

種類   倉庫兼居宅

構造   鉄筋コンクリートブロツク造二階建

床面積  一階部分 九・九二坪、二階部分 〇・三三坪

なる登記簿謄本(記録一五一丁、山方株式会社所有名義)が存し、本件競売債権者代理人工藤忠孝(第一、二回)、抗告人(第一、二回)各審尋の結果と本件建物のものと認められる記録中の写真をあわせ考えれば、右山方所有建物(以下乙建物という。)は元来債務者株式会社八田商店が昭和四〇年四月ごろ甲建物の上に三、四階として増築したものであつたが、右債務者の一債権者である山方株式会社が債権回収のため債務者から代物弁済を受け、昭和四〇年六月三〇日区分所有権の保存登記を経たものと一応認められる(その表示が一階部分、二階部分となつているのは登記技術上の問題で、床面積からみても三、四階を意味するものと解しうる)。ところが甲建物の登記はもとのまま残され、区分所有権の登記(田中テツヱ所有の一、二階部分)がされなかつたため、あたかも全く別の建物が存するような観を呈したのである。この点登記手続の上でも疑点があるが、それはさておいて、もし乙建物が区分所有権の目的たる要件を備えなければ、四階建建物全体が債務者の所有となり、乙建物増築による表示変更の登記をすべく、独立して山方株式会社の保存登記はできない理である。しかし前記各資料によると、以前三階に直接外から出入できる階段が附置されていた(現在は撤去され存在しない。)形跡があつたようであり、たとえ右階段がなくても、内部の階段その他を共用部分とする方法により三、四階を区分所有の目的となしえないものともいえず、当審で乙建物の区分所有権の登記が無効のものと断定するには至らない。

しかしながら、競売の公告の目的からすれば、建物の現況をできるだけ正確に表示すべきところ、本件の場合には競売の効力が、三、四階に及ぶか否か一見明白でないのであるから、少くとも甲建物の上に乙建物が存する現況にあることを表示すべきものと解すべく、甲建物がもとのままの登記になつているからといつて、また競売目的建物は甲建物だけであるとの理由で、そのまま表示するのは、競落人に重大な損失を及ぼすおそれがあり、許されないといわなければならない。

そうすると建物に関する限り本件競売の公告に重大な誤りがあり、民事訴訟法第六七二条第四号、第六五八条第一号に該当し、競落不許の事由となると認めざるをえない。

(近藤 田嶋 小堀)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!